特定保健用食品
特定保健用食品というものを、見たり聞いたりしたことがありますか。
難しい名称ですが、略してトクホとも呼ばれるこの特定保健用食品は、その名の通り、特定の保健効果が期待できる食品のことです。
「特定の」というのは、体調を整えたり、病気の予防に適することなどを意味し、特定の保健の目的で摂取する人に対してその効果が期待できることを表示した食品をいいます。
特定保健用食品は厚生労働大臣の個別審査が必要で、1991年にスタートして以来、少しずつ許可品目の数が増えて、いまでは約300以上もの商品が市販されています。
本来、食品の機能としては、各種栄養成分の補給としての栄養機能と、おいしく感じて食べる晴好機能があるとされてきました。
それらの機能に加えて、1980年代から第三の機能として体の働きを調節する生理機能が研究され、注目されるようになってきたのです。
健康を保つことを目的に、特定の生理作用を持つ成分を入れて作った加工食品は、すでに機能食品として出回っていました。
この機能食品を栄養改善法で「特別用途食品」のひとつとして位置づけし、新たに「食品衛生法」でも規定を設け、保健機能食品としても扱われるようになったものが、「特定保健用食品」です。
一般食品は、○○に効くといった効能表示は薬事法により規制されていますが、特定保健用食品として許可されたものは、効能表示ができるのが大きな特徴です。
効能や効果の表示を認めることについては、数年にわたって検討され、許可申請はかなり厳しいものとなっています。
判定の基準としては、食生活の改善や健康の維持増進に役立つと期待され、有効成分の働きや摂取量が学問的に明らかであり、安全であること。
また、カプセルや錠剤ではなく、食品として普通の形態で、日常的に食べることができるものとされています。
厚生労働省の許可を受けたものは、栄養成分含有表示、保健用途の表示(栄養機能表示)、注意喚起表示などが記載され、許可マークがつけられます。
長年の食生活や生活習慣が関わっていると考えられている病気としては、心臓病、ガン、脳卒中、高血圧性疾患、腎臓病、糖尿病、高脂血症、胃や十二指腸潰瘍、肝疾患、歯周病、虫歯、骨粗髭症、貧血(鉄欠乏)などがあげられます。
いま、特定保健用食品として許可されているのは、用途別として、13項目あげられています。これを有効成分別にみると、次のように大きく8分野に分けることができます。
整腸作用のある成分
いわゆる「快便」を促す食品。健康な状態の便が規則正しく排泄されるよう、おなかのなかが健康に保たれる機能を持った食品です。
便秘で腸内に便が長く滞ったりすると、有害な腸内細菌が繁殖し、ガンの原因になるともいわれているので注意が必要でも「おなかの調子を整える」という表示が許可されているものには、〈オリゴ糖類を含む食品〉〈乳酸菌類を含む食品〉〈食物繊維類を含む食品〉があり、特定保健用食品中の約4割がこれに該当します。
コレステロールを調整する成分
コレステロールの摂り過ぎや脂質の代謝異常は動脈硬化の最大の原因。
血管の内壁にコレステロールが沈着すると、血管が変性して弾力がなくなり、硬化します。血管の動脈が硬化すると高血圧や梗塞などのリスクが高まります。
摂り過ぎのコレステロールの吸収を調整し、吸収しにくく工夫した食品は「コレステロールの高めの方の食生活の改善に役立つ」との表示が許可されています。
血中コレステロールの上昇を抑える成分としては〈大豆タンパク質〉〈キトサン〉〈低分子化アルギン酸ナトリウム〉〈リン脂質結合大豆ペプチド〉〈サイリウム種皮由来の食物繊維〉〈植物ステロールエステル〉〈植物スタノールエステル〉があります。
血圧を調整する成分
血圧を高める要因としては、塩分の過剰摂取、肥満、便秘、運動不足のほか、遺伝や、原因がはっきりしないことが多いようです。
血圧が高くても、ほとんどは自覚症状のないままに心臓や脳、腎臓などに影響を及ぼし、ときには致命的な結果を招きかねません。
高血圧となるとクスリを用いますが、「高め」の場合はその要因を抑え、生活習慣を改善することです。
「血圧が高めの方の食品」という表示が許可され血圧の上昇を抑える成分には〈杜仲葉配糖体〉〈ラクトトリペプチド〉〈カツオ節オリゴペプチド〉〈バリルチロシンを含むサーデンペプチド〉〈カゼインドデカペプチド〉などがあります。
吸収の良いミネラル成分
ミネラルのなかで日本人に不足しがちなカルシウムと女性が潜在的に欠乏している鉄について、それら成分を効率的に吸収できるように工夫された食品です。
カルシウムについては「吸収性が高い」ことと、「不足しがちなカルシウムを摂取するのに役立つ」という表示が許可され、主要成分は〈クエン酸リンゴ酸カルシウム〉〈カゼインホスホペプチド〉〈フラクトオリゴ糖〉です。
鉄については「鉄の補給を必要とする貧血ぎみの人に適する」との表示が許可されたものに、吸収のよい水溶性の〈ヘム鉄〉があります。
骨の健康維持の為の成分
骨のカルシウムは絶えず入れ換わっています。
骨董を減らさずに高めるには、摂取したカルシウムを効率よく吸収させることです。
また、骨の形成を助け、骨からのカルシウム溶出のバランスをうまくとるのも骨を丈夫にするうえで重要です。
骨の健康が気になる人に、カルシウムの吸収をよくする〈フラクトオリゴ糖〉、カルシウムの骨形成を助ける〈ビタミンK2高生産納豆菌〉、骨の溶出に関与する〈大豆イソフラボン〉などがあります。
歯の健康維持成分
虫歯とは虫歯菌(ミュータンス菌)が口中で増殖し、歯垢のなかに酸を作ってエナメル質を溶かすことです。「虫歯の原因になりにくい」との表示が許可され、虫歯菌の栄養源にならない成分として〈パラチノース〉〈マルチトール〉〈エリスリトール〉〈還元パラチノース〉、虫歯菌の増殖を抑える成分として〈茶ポリフェノール〉があります。
また、歯を丈夫に健康にするものとして、歯の石灰化を促進する成分には〈カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウム複合体〉〈第二リン酸カルシウム〉〈フクロノリ抽出物〉、
虫歯菌の栄養源にならない成分は〈キシリトール〉〈還元パラチノース〉があります。
血糖値を調整する成分
血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のこと。食事のたびに血糖値が異常に上がり、なかなか下がらない状況が続くと、血管や神経、細胞などに異常をきたし、体全体に障害が出てきます。
厚生労働省の調査では、こうした兆しのある人と糖尿病の人を合わせると、およそ10人に1人という驚くべき実態です。「血糖値が気になり始めた方の食品」として許可されているのは、小腸でのブドウ糖の吸収を穏やかにコントロールする働きがある〈難消化性デキストリン〉〈グァバ葉ポリフェノール〉〈小麦アルブミン〉〈L-アラビノース〉〈豆鼓エキス〉です。
中世脂肪酸・体脂肪の上昇抑制成分
脂肪の摂り過ぎによる肥満、中性脂肪値の高まり、内臓脂肪の蓄積は高血圧症や動脈硬化の原因になりかねません。
「食後の血中中性脂肪値が上昇しにくく、体に脂肪がつきにくい」という表示が許可されたのは、ジアシルグリセロールを高濃度に含む食用油です。
コレステロールや中性脂肪が気になる人には、ジアシルグリセロールを主成分に血中コレステロールの吸収を抑制する〈植物ステロール(β-シトステロール)〉を配合したものもあります。
また、食後の血清中性脂肪値が上昇しにくい成分として〈グロビンタンパク分解物〉が許可されています。
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